大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和36(オ)4 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人弁護士庄司進一郎の上告理由について。

論旨は、本件売渡処分は旧自作農創設特別措置法の根本理念を無視した重大な違

法行為であつて、法律上当然無効である旨を主張し、これを無効でないとした原判

決を非難するのである。

原判決の認定するところによれば、本件農地のもとの耕作者は上告人らであつて

本件売渡の相手方であるDではなかつたというのであつて、原判決も本件売渡処分

の違法を判示しているのである。

しかし、およそ行政処分を無効とすべき場合は、その処分の違法が重大かつ明白

な場合に限られることは、当裁判所の判例とするところであり、この点について原

判決が詳細に認定するところによれば、本件売渡処分当時においては、農地委員会

がDを小作人と認める余地が全くないわけではなかつたというのであつて、この原

判示は、原判決の認定した諸般の事情から十分に首肯することができる。かかる場

合において売渡処分の相手方を誤つても、その違法は重大かつ明白な違法というこ

とはできず、従つてその売渡処分を無効ということはできない。所論の農地委員の

指導が不十分であつた事実、上告人らが適法に異議、訴願をしなかつた理由等は、

本件売渡処分を無効とすべき理由にはならない。原判決は正当であつて論旨は理由

がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

- 1 -

裁判長裁判官 横 田 正 俊

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!